お知らせ
「夏の職人実演まつり」の実施について
京都伝統産業ふれあい館では,9月1日(日)から7日(土)まで,ICOM関連事業として,普段間近に見ることのできない職人さんの実演が見られる「夏の職人実演まつり」を実施しますのでお知らせします。伝統産業の魅力,職人さんの技に触れられる機会ですので,皆様の御来場をお待ちしています。
1 日 時 令和元年9月1日(日)~7日(土)午前10時~午後4時30分
2 場 所 京都伝統産業ふれあい館(左京区岡崎成勝寺町9-1 京都市勧業館地下1階)
3 内 容 西陣織(綴織),京友禅(紋章上絵),京焼・清水焼,京象嵌,結納飾・水引工芸,和蝋燭の
計6業種の職人さんが,以下のとおり実演します。
日程 | 実演業種 | |||||
9月1日(日) | 京友禅 (紋章上絵) | 京焼・清水焼 (成型・絵付) | 京象嵌 | 結納飾・ 水引工芸 | 和蝋燭 | |
9月2日(月) | 京友禅 (紋章上絵) | 京焼・清水焼 (成型・絵付) | 結納飾・ 水引工芸 | 和蝋燭 | ||
9月3日(火) | 京焼・清水焼 (成型・絵付) | 京象嵌 | 和蝋燭 | |||
9月4日(水) | 京焼・清水焼 (成型・絵付) | 京象嵌 | 和蝋燭 | |||
9月5日(木) | 京焼・清水焼 (成型・絵付) | 京象嵌 | 和蝋燭 | |||
9月6日(金) | 西陣織(綴織) | 京友禅 (紋章上絵) | 京焼・清水焼 (成型・絵付) | 京象嵌 | 結納飾・ 水引工芸 | 和蝋燭 |
9月7日(土) | 西陣織(綴織) | 京友禅 (紋章上絵) | 京焼・清水焼 (成型・絵付) | 京象嵌 | 結納飾・ 水引工芸 | 和蝋燭 |
4 入場料 無料
5 主 催(公財)京都伝統産業交流センター
6 その他
⑴京都市の収蔵品の中から珠玉の着物を展示した「KIMONO JOURNEY」を当館常設展示場内で開催
※無料
⑵ 毎週日曜日,予約不要の摺型友禅染体験(午前9時30分~午後5時まで)も開催
※有料(受付は午後4時まで)
7 参 考(実演のある伝統産業の紹介)
○西陣織(綴織)
平織を応用した綴織は,よこ糸に二色以上の色糸を使い,機械を使わず人の手足のみで操作する「綴機」を使用し,模様部分だけ織り綴るようにして模様を表した織物です。その手法は,ノコギリ形に研いだ織人自身の「爪」や櫛形をした「筋立て」と呼ばれる道具で下絵を写しながら織られています。綴織は西陣織の中で最も歴史があるとされ,世界で一番古いものは紀元前1580年頃、エジプト第17王朝期のものと言われています。
○京友禅(紋章上絵)
紋は家の印として儀礼的な装飾に用いるもので,現在も和服や調度品などに付けられています。紋の起源は平安時代の中期頃,動植物や天文,器,文字などの形をとって衣服や調度品,武具などに付け,持ち主を明らかにしたことから始まったとされています。「紋章上絵」の技術は,繊細緻密な紋を描けるのみならず,紋型を彫る技術,木地との色合わせ,刷毛による刷り込み技術等,数多くの技術の総合結集であり,一人前の上絵師となるには,少なくとも10年以上の修練が必要とされています。
○京焼・清水焼
京焼・清水焼は,京都でつくられる焼物の総称。高い意匠力と多彩な技術とが,「土もの」と呼ばれる陶器と「石もの」と呼ばれる磁器の両分野で,あらゆる種類の焼物を作り出してきました。雄略天皇の時代(5世紀後半)に始まったとされる歴史は,17世紀中頃に野々村仁清が華麗な色絵陶器を完成させて一つの頂点を迎え,その後も尾形乾山,奥田頴川,青木木米といった多くの陶工が独自のデザイン・技法を生み出してきました。高度な技術力に基づいた華麗で雅やかな焼物です。
○京象嵌
金属に金や銀,赤銅などをはめ込んで模様で装飾する象嵌は,シリアのダマスカスで生まれ,日本には飛鳥時代(6~7世紀)に伝わったとされています。平安時代(8末~12世紀)には技術の基盤ができ,江戸時代(17~19世紀)には京都の埋忠,正阿弥など刀やよろいなどをつくる職人が優れた象嵌を生みました。京都の象嵌は,鉄,銅,真鍮などの地金に縦横の細かい布目の溝を彫り,金,銀,銅などを鎚で打ち込んでいく布目象嵌を中心としており,繊細な美しさが特徴です。
○結納飾・水引工芸
水引は京都で生まれました。平安時代(8末~12世紀)に髪の毛を結ぶこより「元結」が物を結ぶために使われるようになり,室町時代(14~16世紀)には右を紅,左を白に染め分ける進物用のくくり紐が生まれました。この様式は現在まで変わっていません。明治時代に一般に普及し,自然の風物を限られた材料で美しく表現する結納飾の細工として発展しました。贈答品のし,金封などに使われる平飾りと,結納用に使われる豪華な立体飾りがあります。
○和蝋燭
日本の蝋燭は和蝋燭と呼ばれ,京都を中心として発達しました。和蝋燭は,和紙に蘭草の髄を巻いて芯をつくり,ハゼの実から採ったロウを塗りこめていきます。いかり型と棒型がありますが,いずれも細長い形をしています。植物性の原料のみを使っているため,油煙が少なくきよらかな炎が特徴です。仏教など宗教的な行事に使われるほか,近年お茶事で夜話が復活したのに伴って,数寄屋蝋燭としての需要も高まっています。